3月25日、日本リート投資法人(3296)から第23期(2023年7月~12月)の分配金(8,854円)と資産運用報告が届いたのである。日本リート投資法人は、総合商社の双日をメインスポンサーとして2014年4月に上場したが、2022年11月30日、SBIファイナンシャルサービシーズが、双日が保有していた資産運用会社の株67%を取得し、また、SBIホールディングスが日本リート法人の投資口15,500口を保有するなど、SBIグループがメインスポンサーとなったのである。
日本リート投資法人のポートフォリオは、2024年2月末現在、投資物件数110件、資産規模2,587億円、資産規模は58リートの中で33位、3月27日現在時価総額1,601億円は34位と、いずれも中位なのである。投資先としては、オフィスが約7割を占め、残りが住居、商業施設という、いわゆる総合型リートなのである。そして投資先は都心のオフィスを中心にほとんどが3大都市圏で、いわゆる旗艦物件と呼ばれるような超大型物件は無いが中規模物件への分散投資が特徴なのである。
過去の年間分配金実績は、フル稼働した2015年から13,354円、15,319円、17,428円、17,036円、18,509円と順調に増加し、2020年、2021年は資産の譲渡益が発生したため21,328円、22,465円と過去最高となったのである。2022年の分配金は譲渡益がないため17,212円と減少し、2023年分配金は1物件の売却があり17,235円と僅かに増加したのである。
因みに、3月27日の投資口価格は356,000円、今後1年間の分配金予想は17,488円、分配金利回りは4.91%と58リートの中では12位、NAV倍率(不動産を時価評価した純資産価値に対する投資口価格の割安度を表す指標、株式におけるPBR(株価純資産倍率)に似た指標。NAV倍率が低い程割安と言える。)は0.84で14位と、どちらの指標からも少々人気薄で割安に評価されているのである。
稼働率の実績は第19期98.1%、第20期98.0%、第21期98.2%、第22期98.2%、第23期97.9%、稼働率予想第24期97.6%、第25期97.7%と安定しているが、その実態はフリーレントの付与による入居促進を図っているという事情があるのである。また、ポートフォリオの安定性を高めるため、年に1度3つの評価軸(収益性、流動性、物件特性)でスコアリングし、マーケット変調の影響を受けやすく、また内部成長ポテンシャルの希薄化が懸念される物件を競合優位性のある物件と入れ替えており、第23期は、1物件の売却と6物件の取得を実施したのである。