11月6日14時、住友精化(4008)から2023年3月期第2四半期決算短信、「通期業績予想の修正に関するお知らせ」、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」が発表されたのである。決算短信によれば、売上高69,664百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益3,778百万円(同41.1%減)、経常利益4,516百万円(同41.8%減)、純利益3,071百万円(同48.1%減)、1株当たり利益227.61円(前年同期438.96円)、中間配当100円(前年同期100円)と、予想どおりとはいえ減収・減益と少々厳しい結果なのである。この要因としては、メインの吸水性樹脂事業がアジア市場(特に中国)における販売減少、機能マテリアル事業でも販売減少、固定費増加によるものなのである。
同日、2024年3月期通期業績予想の修正に関するお知らせが発表され、売上高1,500億円⇒変更無し(前期比4.9%増)、営業利益95億円⇒変更無し(同9.1%減)、経常利益95億円⇒100億円(同8.5%減)、純利益65円⇒70億円(同18.5%減)、1株当たり利益481.77円⇒521.28円と、円安による為替差益の増加により経常利益と純利益が上方修正されたが、配当予想200円(配当性向41.5%⇒38.4%)は前期と同額のままなのである。
さらに、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」により、資本収益性についての現状評価と分析、改善に向けての取り組み方針について発表されたのである。現状分析は、営業利益が低下している、設備投資が低水準のため現金の増加によりROE(7.2%程度)が資本コスト(約7%)と同程度に低下した結果、市場は資本効率が悪いと評価しPBR1.0倍を下回る状態が継続しているというものなのである。そこで、吸水性樹脂製造設備増強、技術・研究開発へのリソースの重点配分、人的資本への積極的な投資などに取り組むとともに、株主還元(総還元性向2023年度~25年度3年間平均50%以上)の充実をはかることとしたのである。
6日の株価は、前営業日(2日)の終値(4,655円)前後で推移していたが、株主還元の充実が評価されたのか、14時発表直後5,000円と急上昇、9月20日の4,835円以来1ヶ月半ぶりに年初来高値更新し、終値は前日比330円高(+7.09%)の4,985円なのである。翌7日も5,190円と年初来高値更新したのである。