9月13日16時15分、ヒューリック(3003)から、投資用不動産の販売などを行うレーサム(8890)に対し株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表があったのである。TOB価格は1株5,913円(13日終値は3,045円)、TOB後の株式取得を含む買収総額は約1,735億円、TOB期間は9月17日から10月30日まで、買付代理人はみずほ証券なのである。香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントの傘下企業が所有する63.88%の株式はTOBに応募せず、TOB成立後、ヒューリックはレーサム株を保有するオアシス傘下企業の全株式と債権を買い取る予定なのである。ヒューリックは、完全子会社化を目指しており、レーサムは上場廃止となる見込み。レーサムはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨したのである。ご主人は、レーサムを初めて購入したのが2023年12月なので、1年も経たずに売却することになるのである。
今後は、値幅制限が株価5,000円以下の場合700円なので、レーサムの株価は、17日3,745円、18日4,445円、19日5,145円と3日連続ストップ高となり、20日に漸く公開買付価格の5,913円程度に上昇するのである。ということで、レーサムを購入したいという競合相手が出て来る可能性もあるので、今週は様子見となるのである。
レーサムは2025年3月期配当予想を196円としていたので、196円×1,700株=333,200円の配当が失われる、1,700株の売却資金は、源泉徴収分を差引き925万円程度となるのである。これで、ご主人が最近注目している高配当であるが高い成長性は期待できない大和工業や淀川製鋼所に投資した場合、9月13日現在5.6%程度の配当利回り、51万円以上の配当が期待できるかもしれないのである。あるいは、増収・増益・増配を続けているFPGに投資した場合、配当利回り5.0%、配当46万円以上が期待できるかもしれないのである。いずれも、レーサムの失われた配当333,200円を上回るのである。
因みに、TOBが成立した場合、ヒューリックの利益と配当がどうなるのか。レーサムの25年3月期の予想純利益は156億円、ヒューリックの24年12月期の予想純利益は980億円なのである。期がズレているので、レーサムの純利益3/4の117億円が上乗せされとして、ヒューリックの純利益は117÷980=11.9%増加する見込みなのである。ヒューリックの予想1株当たり利益128.74円なので、128.74円×1.119=144円へ増加する見込みとなり、さらにヒューリックの配当性向は40%なので、配当は57.6円(2024年12月期の配当予想52円)なので、5円程度増配の可能性はあるが、買収費用、TOB資金の金利など経費の増加、法人税の変動もあるので、せいぜい数円の増配に止まる可能性が高いと思われるのである。