11月7日14時、稲畑産業(8098)から、2025年3月期第2四半期決算短信が発表されたのである。売上高4,216億円(前年同期比12.4%増)、営業利益138億円(同32.5%増)、経常利益139億円(同31.2%増)、純利益115億円(同7.7%減)、1株当たり利益212.04円(前年同期227.17円)、中間配当60円(前期55円)と好調な業績なのである。この要因は、メイン事業である情報電子事業の売上高が前年同期比17.9%増、営業利益43.4%増、合成樹脂事業の売上高11.1%増、営業利益37.6%増などの増収・増益が貢献しているのである。なお、純利益が減益となっているのは、前期計上した負ののれん益3,419百万円の剥落、および投資有価証券売却益の減少(3,571百万円⇒2,613百万円)によるものであり、これを考慮すれば純利益も大幅な増加なのである。
好調な第2四半期決算短信を受け、同日2025年3月期通期業績予想が修正されたのである。売上高8,300億円⇒変わらず(前期比8.4%増)、営業利益225億円⇒240億円(同13.3%増)、経常利益215億円⇒240億円(同12.2%増)、純利益170億円⇒200億円(同0.0%減)、1株当たり利益307.79円(前期366.94円)と、利益面はいずれも上方修正され、配当予想120円には修正はないのである。上方修正理由について、稲畑産業は「本日公表の2025年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、情報電子事業及び合成樹脂事業が好調に推移し、利益率も向上したことから、売上高、営業利益、経常利益とも、前回発表の予想を上回る実績となりました。加えて、親会社株主に帰属する中間純利益については、投資有価証券の売却を前倒しで進めたことなどから、やはり前回発表の予想を上回る実績となりました。」と説明しているのである。
しかしながら、第2四半期と通期の増益幅を比較すると、営業利益3,063百万円に対し1,500百万円、経常利益3,479百万円に対し2,500百万円、純利益3,378百万円に対し3,000百万円と、いずれも小幅なのである。つまり、稲畑産業は下半期の内外の経済的・政治的・地政学的不安定要因を斟酌し、保守的な通期予想を出したと推測され、期末に上方修正される可能性は十分あるのである。
因みに、稲畑産業の株価は、3,350円前後で推移していたが、14時発表直後は好業績を評価して前日比255円高(+7.76%)の3,540円と上昇したがその後はジり下がり、終値は前日比160円高(+4.87%)の3,445円なのである。