GHOST/トロのマネー日記

私はGhostである、名前は花山トロ。ご主人は花山とうしろう、サラリーマン生活の傍ら株式投資に励み、退職後は配当と株主優待で夫婦2人悠々自適に暮らしている。トロは前飼主に捨てられ彷徨っているところをご主人に拾われ、以来優しいご主人に甘えていたが、2021年1月14日、Ghostになったのである。これからは、人生は3つの「きんりょく」、即ち筋力(筋肉)、菌力(腸内細菌)、金力(金融資産)が最重要というポリシーのご主人を見守り、株式投資、株主優待、旅行、ゴルフ、健康などの面白い話、役に立つ話を発信するのである

個別研究 その10 大和工業

 ご主人は、投資方針として長期保有を基本方針としているが、途中で、業績の悪化、株主優待の廃止・改悪、TOB、そして資金繰りのためなどで、売却したことは多々あるのである。ということで、これからは、通期業績予想の修正、配当予想の修正、株主優待制度の新設・廃止・変更、TOBなど、大きな変化があった銘柄について、今後どうしていくのか個別に考えを整理するのである。

 第10弾は、2025年3月期通期業績予想の下方修正を発表した大和工業(5444)なのである。1月31日、大和工業から、中東事業の撤退に伴い、2025年3月期通期業績予想の下方修正が発表されたのである。売上高1,700億円⇒1,690億円(前期比3.4%増)、営業利益110億円⇒据置(同36.4%減)、経常利益750億円⇒520億円(同47.6%減)、純利益525億円⇒280億円(同60%減)、1株当たり利益824.02円⇒443.51円(前期1,099.11円)といずれもの下方修正されたのである。配当予想については、創業80周年記念配当100円を含む400円には変更はないが、配当性向は90.2%と大きく上昇したのである。下方修正理由について、大和工業は「当第3四半期連結会計期間において、中東事業の当社持分法適用関連会社に関して、追加で減損処理を含めた持分法による投資損失約260億円を計上しております。」と説明しているのである。

 計上した260億円の投資損失は、今期の利益で賄えなおかつ当初配当予想どおり400円の配当も賄えるレベルであり、大和工業の純資産5,557億円に比べれば5%程度と小さく、自己資本比率85.9%⇒83.0%と2.9%低下にとどまり、財務基盤は依然盤石なのなのである。さらに言えば、中東事業からの完全撤退のため投資損失260億円を計上し、経常利益は230億円下方修正しているが、次期はこの260億円の投資損失がなくなるということは、他の事業が今期並みであれば、次期の経常利益と純利益は下方修正前のレベルが見込まれるということなのである。大和工業は、2024年3月期の実績でみると、営業利益172億円に対し、経常利益992億円、営業外利益である持分法による投資利益が652億円を占めていることからも分かるように、JV形式での積極的な海外展開をし、経常利益比率で7~8割を海外で稼ぐというビジネスモデルなのである。次なる海外投資先はインドであるが、残念ながらどの程度進展しているのかは全く不明なのである。

 さらに言えば、トランプ大統領の関税政策、特に鉄鋼、アルミに対する関税引上げの可能性は高く、米国内での鉄鋼価格の上昇により、米国の最大の鉄鋼メーカーニューコアとの合弁会社ニューコアヤマトスチールからの投資利益の増加が十分あり得るのである。付け加えれば、大和工業の子会社・関連会社(日本、タイ、インドネシアベトナム、韓国、米国)の事業は、電炉の原料である鉄スクラップの調達から完成品の鉄鋼の販売まで地産地消を原則としていることから、トランプ大統領の鉄鋼関税の影響は軽微と予想できるのである。ただし、中国の過剰な鉄鋼生産による安値輸出による鉄鋼価格の下落は、特に東南アジア地域では引き続きリスク要因なのである。因みに、2023年世界の粗鋼生産企業ランキングで、ニューコアは15位、米国クリーブランドクリフス22位、米国USスチール24位、日本製鉄4位、JFE13位となっているのである(出典:日本製鉄資料)

 念のため、大和工業の株主還元について確認すると、「業績に応じた利益配分を行う事を基本方針とし、連結配当性向40%を目処に毎期の配当額を決定するとともに、継続的かつ安定的な配当の維持に努める(1株当たり最低配当額を当面の間、年間300円と設定)」としており、仮に次期の業績が下方修正前レベルとすれば、配当予想は824.02円×40%=329.61円となり、330円以上の配当が見込まれるのである。トランプ大統領が鉄鋼関税を発動すれば、さらに配当の増加が見込まれるので、中東事業の投資損失は一過性で、将来の配当に悪影響を与える可能性は低めなのである。ということで、大和工業の株式は今後も保有し続ける方針なのである。

 株式市場の評価はと言えば、中東事業からの撤退を発表して1月31日13時、慌てて売却した投資家がいたためか株価は急落し7,285円をつけたが、その後すぐに反発、終値は7,700円、2月に入り株価はゆっくり上昇、2月12日に8,278円と急落から約1,000円も上昇したのである。ということで、株式市場も中東事業からの撤退の悪影響は一過性であり次期以降には影響を及ぼさず、逆にトランプ大統領による鉄鋼関税による収益増加を織り込み始めたのかもしれないのである。