5月11日、稲畑産業(8098)から、2026年3月期決算短信が公表されたのである。売上高8,327億円(前期比0.6%減)は微減収となったものの、営業利益261億円(同1.3%増)、経常利益277億円(同6.2%増)純利益206億円(同4.0%増)、1株当たり利益384.84円(前期363.90円)と利益面はいずれも過去最高を更新し、配当128円(前期125円)、配当性向33.3%(前期34.4%)、DOE3.1%(前期3.4%)と8期連続増配を達成したのである。増益要因は、情報電子事業が減収・減益となったものの、化学品事業は自動車部品用原料や塗料・インキ・接着剤関連、建築資材関連などのビジネスが堅調に推移し増収・大増益、生活産業事業はライフサイエンス関連、食品関連とも総じて好調で増収・大増益、メイン事業である合成樹脂事業は増益率は1.0%と低いものの総じて各分野向けで堅調に推移したことが挙げられるのである。
2027年3月期通期業績予想は 売上高8,900億円(前期比6.9%増)、営業利益275億円(同5.1%増)、経常利益275億円(同0.9%減)、純利益210億円(同1.8%増)、1株当たり利益393.39円が予想され、配当予想143円(配当性向36.4%)が見込まれているのである。なお、中東情勢について、稲畑産業は、「ナフサ由来の樹脂や化学品原料を取り扱う当社グループは、大きな影響を受ける可能性があります。足元では、事業や業績に対して大きな影響は生じておりませんが、今後については、紛争当事国間の交渉状況や、現地石油精製施設等インフラの被害状況、海峡封鎖など輸送に係る状況が非常に流動的であり、顧客の対応によって影響が大きく変化する可能性もあるため、現時点では、合理的な影響度合いや影響額の見積もりは困難です。」としており、下方修正の可能性もあるのである。
また、同日、「株主還元の基本方針の一部変更(DOE指標導入等)に関するお知らせ」が公表され、新たにDOE基準が導入されたのである。従来の株主還元の基本方針は、「• 一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)、• 総還元性向の目安としては概ね50%程度とする。」の2点であったが、変更点は、①総還元性向の目安が「50%程度とする」から「50%以上を原則とする」と一段と明確化され、②新たに、「配当総額はDOE4~4.5%を目安」とDOE基準が導入されたのである。変更の理由について、稲畑産業は、「この度、累進配当の継続、総還元性向に加えて、株主資本の水準を踏まえて利益成長の成果を適切に分配する姿勢を明確にするため、新たにDOE(株主資本配当率)を指標として導入することといたしました。」と説明しているのである。
因みに、配当の推移は、2019年3月期前期比8円増配の48円をスタートに、以後53円、63円、110円、115円、120円、125円、そして2026年3月期128円で8期連続増配が確定したが、増配幅が小さくなったのである。2026年3月期のDOEは3.1%なので、2027年3月期はこれを1%程度引き上げることになるので、2027年3月期配当予想は前期比15円の大増配となる143円が見込まれるが、配当性向36.4%と余裕で9期連続増配が達成できそうなのである。