12月21日、第一生命ホールディングス(8750)が、ベネフィット・ワン(2412)に対するTOB(株式公開買付)価格を2,123円にすると発表したのである。第一生命ホールディングスは、ベネフィット・ワンと親会社のパソナグループの同意が得られれば、2024年1月中旬からTOBを開始する予定なのである。
ベネフィット・ワンを巡っては、エムスリーが11月15日から1株1,600円でTOBを実施中で、エムスリーはパソナグループとTOB応募契約を結んだ上で、TOBの上限を55%としてベネフィット・ワンを子会社化しつつ上場を維持する方針なのである。
これに対して、第一生命ホールディングスは、12月7日に、公開買付価格を1,800円以上とする対抗案を公表したのである。パソナグループがTOBに応じないことを前提に、TOB後にベネフィット・ワンがパソナグループの持ち株を自社株買いで買い取るスキームとしたのである。第一生命ホールディングスはTOBに上限を設けず、ベネフィット・ワンを完全子会社化する計画なのである。
第一生命ホールディングスが12月7日に対抗案を出したことを受け、ベネフィット・ワンはエムスリーにTOBの期間延長を要請、エムスリーは12月12日にTOB期間を12月13日から2024年1月17日まで延長することを発表したのである。
そして、12月21日、第一生命ホールディングスは、公開買付予定価格を、エムスリーの公開買付価格1,600円を523円上回る、2,123円と発表したのである。
今後はエムスリーのTOB期限の2024年1月17日までに、ベネフィット・ワンとパソナグループが第一生命ホールディングス案に賛同するか否か、エムスリーが第一生命ホールディングスに対抗して条件を引き上げるかなど、3社の動向が焦点となる。
因みに、ご主人は、公開買付価格2,123円で勝負あったと思っているのである。エムスリーがベネフィット・ワン株を55%取得するのに必要な約1,400億円は、手元資金と900億円を上限とする借り入れで賄う計画なので、第一生命ホールディングスを上回る条件を出すにはさらに資金が必要となるのである。エムスリーが保有する現金等が9月30日現在1,350億円、流動資産全体でも2,273億円、これに対して第一生命ホールディングスの保有する現金等は9月30日現在1兆4,788億円、資金力に圧倒的な差があるのである。