3月13日17時40分、ブラザー工業(6448)は、ローランドディー.ジー.(6789)に対し買収提案をすると発表したのである。ローランドディー.ジー.は、アメリカの投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズと組んで、2月13日から3月27日まで、買付価格5,035円でMBO(経営陣が参加する買収)を実施中であるが、ブラザー工業は、ローランドディー.ジー.の同意を得ずに、5月をメドに買付価格5,200円でTOB(公開買付)を実施すると発表したのである。
これに対して、ローランドディー.ジー.は、「ブラザー公開買付けに関する当社の考え方に基づく当社の対応につきましては、当社取締役会および特別委員会にて、当社の企業価値および株主共同の利益の観点から、ブラザー公開買付けに係る開示文書の内容その他の関連情報を分析・検討した上で、あらためて株主の皆様にご案内いたします。株主の皆様におかれましては、ブラザー公開買付けに関する考え方を含む当社から開示される情報をご確認いただいた上で、慎重なご対応をいただきますようお願い申し上げます。なお本開示資料は、ブラザー公開買付けに関する当社の意見を表明するものではありません。ブラザー公開買付けに対する当社の意見は、決定次第速やかにお知らせいたします。」としているのである。因みに、ブラザー工業は2023年にローランドディー.ジー.に対して買収の打診をしていることから、ローランドディー.ジー.はこれに対抗すべくMBOを実施したのかもしれないのである。
翌14日、ローランドディー.ジー.の株価は、一時前日比420円高(+10.4%)の5,440円とブラザー工業が発表した公開買付価格5,200円を上回る上昇ぶりなのである。終値は5,350円と依然として5,200円を上回っており、株式市場は、ローランドディー.ジー.がMBO価格を5,200円以上に引上げるか、あるいはブラザー工業が公開買付価格5,200円をさらに引上げるかを、期待していると推測されるのである。
ご主人は保有していたローランドディー.ジー.株を全て売却しており、ブラザー工業のTOBは直接的には関係ないが、ご主人は、ベネフィット・ワンに対するTOBの経験も踏まえ、今後TOBに直面した場合、複数の企業が競合する可能性も考慮し、TOB対象企業の株を市場で早々に売却するのは避けた方がよいと思うのである。また、同日、ローランドディー.ジー.から、2023年12月期定時株主総会招集通知が届いたのであるが、こちらも今となっては関係ないが、議案は取締役と監査役の選任のみであるので、全員否認で議決権を行使したのである。