ベネフィット・ワンを巡っては、エムスリーが2023年11月15日から1株1,600円でTOBを開始し、エムスリーはパソナグループとTOB応募契約を結んだ上で、TOBの上限を55%としてベネフィット・ワンを子会社化しつつ上場を維持する方針なのである。
これに対して、第一生命ホールディングスは、12月7日に、公開買付価格を1,800円以上とする対抗案を公表したのである。パソナグループがTOBに応じないことを前提に、TOB後にベネフィット・ワンがパソナグループの持ち株を自社株買いで買い取るスキームとしたのである。第一生命ホールディングスはTOBに上限を設けず、ベネフィット・ワンを完全子会社化する計画なのである。
第一生命ホールディングスの対抗案を受け、ベネフィット・ワンはエムスリーにTOBの期間延長を要請、エムスリーは12月12日にTOB期間を12月13日から2024年1月17日まで延長することを発表したのである。
12月21日、第一生命ホールディングスは、公開買付予定価格を、エムスリーの公開買付価格1,600円を523円上回る2,123円とし、併せて、ベネフィット・ワンと親会社のパソナグループの同意が得られれば、2024年1月中旬からTOBを開始する旨発表したのである。
2024年1月11日、第一生命ホールディングスから、ベネフィット・ワンの取締役会及び特別委員会並びにパソナグループとの協議及び交渉が継続中を理由に、TOB開始時期を1月中旬から1月末に変更する旨が発表されたのである。
1月16日、エムスリーから、2023年11月15日より実施しているTOBの期間を2月15日まで再延長する旨が発表されたのである。この発表を受けて、ベネフィット・ワンの株価は第一生命ホールディングスの公開買付予定価格2,123円前後からじわりと上昇、2,140円前後となったのである。
これら一連の動きから推測するに、第一生命ホールディングスのTOB予定価格2,123円で簡単に決着できないのは、TOB後の成長戦略がエムスリーのそれに見劣りするため、公開買付価格差523円では圧倒できない、つまり市場は第一生命ホールディングスに公開買付価格の引上げを催促または期待しているのかもしれないのである。