ベネフィット・ワン(2412)を巡っては、エムスリー(2413)がTOBを実施中、第一生命ホールディングス(8750)からはTOB実施の予定が公表されているのである。これらについて、株式市場はどのように評価しているのか。
エムスリーは、11月15日から1株1,600円でTOBを実施し(その後公開買付期間は12月12月13日から2024年1月17日まで延長)、51.6%保有するパソナグループとTOB応募契約を結んだ上で、TOBの上限を55%としてベネフィット・ワンを子会社化しつつ上場を維持する方針なのである。この時の株価は1,500円程度で推移したのであるが、TOBの上限が55%に設定していることから、55%を超える応募があった時には按分比例による買付が行われることから、このリスクを織り込んだ価格ということで、1,600円よりも100円安い1,500円程度で推移したと推測されるのである。
第一生命ホールディングスは、12月7日、公開買付価格を1,800円以上とする対抗案を公表したのである。パソナグループがTOBに応じないことを前提に、TOB後にベネフィット・ワンがパソナグループの持ち株を自社株買いで買い取るスキームとしたのである。第一生命ホールディングスはTOBに上限を設けず、ベネフィット・ワンを完全子会社化する計画なのである。この発表後、ベネフィット・ワンの株価は1,900円に急上昇、そこから徐々に値上りし2,000円程度となったのである。この時点で、第一生命ホールディングスのTOBは1,800円以上としか発表していないが、株式市場は公開買付価格2,000円以上を予想あるいは期待していたと言えるのである。
そして、12月21日、第一生命ホールディングスが、ベネフィット・ワン(TOBを)に対するTOB(株式公開買付)価格を2,123円にすると発表したのである。第一生命ホールディングスは、ベネフィット・ワンと親会社のパソナグループの同意が得られれば、2024年1月中旬からTOBを開始する予定なのである。今後はエムスリーのTOB期限の2024年1月17日までに、ベネフィット・ワンとパソナグループが第一生命ホールディングス案に賛同するか否か、エムスリーが第一生命ホールディングスに対抗して条件を引き上げるかなど、3社の動向が焦点となるが、この発表後、ベネフィット・ワンの株価は2,123円前後を推移しているのである。つまり、株式市場は、エムスリーから第一生命保険ホールディングスの公開買付価格2,123円を上回る条件が、出て来る可能性は低いと評価していると言えるのである。
果たして、株式市場の評価どおりとなるのか?