9月7日、1USドルが144円を突破したのである。次の円ドルチャートのとおり、2021年1月から約40円、2022年1月から約30円の下落なのである。円安の弊害として輸入物価の上昇はよく知られているが、昨今の原油・資源・食料の高騰と併せてなので、より一層物価上昇が予測されているのである。さらに、20世紀には輸出増加の効果が大きかったが、海外進出企業が増えた21世紀には、輸出効果が小さくなったというメリット縮小という面もあるのである。
この円安が株式投資の世界では、どのような影響が生じているのかといえば、ご主人がiDeCoで投資しているたわらノーロード先進国株式(4731B15C)、日経平均株価、及びS&P500を5年間(たわらノーロード先進国株式の運用実績は約7年)で比較すると、2020年12月までは3者とも同じような動きであるが、日経平均株価は2021年1月からボックス相場で横這い、S&P500は2021年12月をピークに下落基調、これに対してたわらノーロード先進国株式は2022年1月以降変動幅が大きいが2022年8月に過去最高値を記録しているのである。たわらノーロード先進国株式は2/3はアメリカ株で運用しているので、ドルベースで見ればS&P500に類似した動きであるが、円に換算すれば昨今の円安の恩恵で成績がよいのである。つまり、日本から見れば、日本国内に投資するよりは、成長率と円安のリターンからアメリカなどに投資する方が好成績となる可能性が高いのである。つまり、昨今、若者がiDeCoやNISAでアメリカ株式、先進国株式に投資するインデクスタイプの投資信託を積み立てている現象を見事に説明しているのである。さらに、この積立がドル買いを増やしているので、円安がさらに進むというスパイラル現象なのである。
次に、ドル建て日経平均株価と日経平均株価を過去2年比較すると、日経平均株価はボックス相場が続いているが、ドル建て日経平均株価は2021年1月頃から円安に伴い、日経平均を下回る下落が始まり、特に2021年9月の高値から大きく下落しているのである。このようにドル建て日経平均株価の下落が続いている状況では、外国から見れば日本に投資することは損失の可能性が高く、投資できる状況とは言えないのである。ところが、5月5日、岸田首相はロンドンで講演した際に「Invest in Kishida(岸田に投資を!)」と発言したそうであるが、「新しい資本主義」など標語を打ち出すだけで標語の具体策を提示しない上、円安を放置していては、外国からの日本への投資は期待できないのである。つまり円買いが増えないのである。悲しいかな、矛盾だらけの何もしない岸田首相面目躍如なのである。