9月8日、三機工業(1961)の株価はザラ場で年初来高値(1,709円)を更新、終値は1,708円(前日比+55円、+3.33%)、前週末(9月2日)比+77円、4.72%、前年末(2021年12月30日)比+269円、+18.69%、と順調なのである。しかも4月を底に多少の凸凹はあるがジワジワと上昇を続けているのである。三機工業は東証プライムではあるが、時価総額993億円、PBR1.05倍、PER13.82倍、ROE7.0%(予想7.3%)、EPS123.56,1株配当70円、配当利回り4.10%、と配当利回りが少々高いが、特に目立つ数字があるわけではなく、アナリストにもカバーされていない。5月13日に発表された2022年3月期決算短信は確かに好業績であったが、コロナ禍前には届いておらず、しかも、2023年3月期第1四半期決算短信は営業赤字なのである(進捗が後半に偏っているため)。今年度中の自己株式の取得は上限150万株、発行済み株式の3%弱とインパクトがあるほどの割合でもなく、上限25.5億円、つまり1株当たり1,700円なので、すでに株価はこの水準に達し、PBRは1倍を超えているのである。
4月からの上昇を裏付けるのは配当利回りが少々高いのと、9月5日発売の週間東洋経済9月10日号の特集(ゼネコン両利きの経営)に三機工業について、少々記述があるのを見つけたくらいしかないのである。
週間東洋経済43ページには、「元請けであるゼネコンと下請けの専門業者(サブコン)との『主従関係』も、変わりつつある。図中央下の『スーパーゼネコンとサブコン大手の利益率』を見ると、スーパーゼネコン上場4社の利益率はここ数年、急低下している。対して、高砂熱学工業や三機工業など空調大手4社の営業利益率は大きくぶれることなく、底堅く推移している。空調工事大手はかつて、オフィスビルを中心とする大型施設に力を入れていた。が、ここ数年は半導体工場や医療関連の研究施設など、産業分野の受注に注力をしている。産業分野では付加価値の高い省エネ化工事やクリーンルームなど精密空調機を導入できる。かつ、オフィスビルなどの工事は基本的にはゼネコンを経由して間接受注するが、産業分野はメーカーから直接受注するケースがあり、採算がよい。『空調工事大手は、工事を取るためゼネコンの無理な要求に泣き寝入りする必要はなくなった』空調工事業界の関係者はそう話す。」という記述があるのである。
この記事が言及しているスーパーゼネコン4社の営業利益率が下がったとはいえ現在5%程度、空調大手4社の営業利益率は安定しているとはいえ5%程度で推移しているのである。営業利益率5%程度では決して高いわけではなく、この記事のなかで株価を押し上げる要素は、業績に安定感があるという程度の情報なのである。結局、株価上昇を説明できるような理由が分からなかったのである。因みに、ご主人は、週間東洋経済をUSEN-NEXTホールディングス(9418)の株主優待である動画配信サービスU-NEXTを利用して読んだのである。