GHOST/トロのマネー日記

私はGhostである、名前は花山トロ。ご主人は花山とうしろう、サラリーマン生活の傍ら株式投資に励み、退職後は配当と株主優待で夫婦2人悠々自適に暮らしている。トロは前飼主に捨てられ彷徨っているところをご主人に拾われ、以来優しいご主人に甘えていたが、2021年1月14日、Ghostになったのである。これからは、人生は3つの「きんりょく」、即ち筋力(筋肉)、菌力(腸内細菌)、金力(金融資産)が最重要というポリシーのご主人を見守り、株式投資、株主優待、旅行、ゴルフ、健康などの面白い話、役に立つ話を発信するのである

大和工業 祝! 上場来最高値更新

 電炉大手の大和工業(5444)は、9月4日、前日比187円高(+2.64%)の7,279円と、8月9日につけた7,206円以来、1ヶ月ぶりに上場来最高値更新したのである。そして、9月6日にも9,330円と再度上場来最高値更新したのである。直接的な材料があったわけではないが、バリュー株・高配当株を背景に、原材料の鉄スクラップの価格が落ち着いたことと昨今の円安(海外事業の比率が高い)により、利益の上振れが期待できることが評価されたのかもしれないのである。 

大和工業 祝! 上場来最高値更新

 ところで、少し古い話であるが、8月30日の日経新聞の特集「決算ランキング② 上場企業の純利益率4-6月」において、大和工業が第4位43.1%(前年同期9位)にランクされたのである。ランキングは、日経500種平均株価に採用されている3月期決算企業のうち金融や変則決算などを除いた約340社の業績を集計し、純利益率をランキングしたものである。

 第1位のオリンパス115.8%(前年同期68位)は事業売却益による一時的もの、第2位コーエーテクモホールディング57.7%(同10位)、第3位オービック54.1%(同3位)に次ぐ第4位なのである。以下、第5位カプコン41.4%(同11位)、第6位任天堂39.2%(同8位)、第7位塩野義製薬38.9%(同6位)、第8位キーエンス38.3%(同7位)と、高収益の大企業が並んでいるのである。

 なぜ、大和工業は売上高純利益率が高いのか、2023年3月期決算で見ると、売上高1,804億円、営業利益168億円、経常利益904億円、純利益653億円と、営業利益よりも経常利益が大きい、つまり営業外利益が大きいのである。営業外利益の主たるものは持分法による投資利益662億円なのである。大和工業のビジネスモデルは、売上高に計上される国内事業とタイの連結子会社、営業外利益に計上される持分法適用関連会社(米国、バーレーンサウジアラビアベトナム、韓国)に分けられるのである。売上高に計上される国内事業とタイ事業が相対的に小さいために、売上高経常利益率、売上高純利益率が高くなるマジックであって、真に利益率が高いとは言えないのである。とは言え、売上高営業利益率9.3%、ROE16.5%と収益力は高く、自己資本比率85.6%、有利子負債ゼロと財務基盤は安定している優良企業なのである。持分法適用関連会社が好調な点については、大和工業は「需要が堅実な市場や今後インフラ投資の伸びが期待できる新興国などに拠点を持ちその国の成長に寄与していくと同時に、成長の果実として収益を取り込んでいきます。海外進出にあたっては、現地の商習慣やマーケットに精通した企業をパートナーとし、大和からは製造技術を、パートナーからは現地での経営の知識を合弁会社に注入し、パートナーと共に合弁会社を発展させていきます。」と説明しており、さながら日本の文明開化時の「和魂洋才」のような方針なのである。

 ご主人は、コストの製品価格転嫁が進んだことによる高収益・高配当、安定した財務基盤、そして高炉よりもエコな電炉大手という点に着目し、大和工業株を平均4,591円で600株購入しており、2024年3月期配当予想300円(前期と同額)なので投資利回りは6.53%と優秀なのである。2022年12月末の株価は4,505円、8月31日の株価は7,028円なので年初来56.0%の値上りなのである。大和工業に限らず、鉄鋼業は2023年の値上りは見張るものがあるが、8月31日の日経新聞コラム「スクランブル」では、「円安・インフレへのかまえは株式市場の物色からも見て取れる。象徴は鉄鋼株の堅調振りである。業種別日経平均で鉄鋼は前年末比47%高、24%高の日経平均を大きく上回る。過去、鉄鋼株買いが起きるのは決まってインフレの時代だ。1970年代の石油危機、80年代の日本のバブル、2000年代半ばの中国バブル。そして、今回再び鉄鋼株高の波が訪れている。」と、インフレの可能性に言及しているが、果たしてどうなるのか。