すっかり忘れていたが、1月26日に紹介した、2021年12月24日に閣議決定された「令和4年度税制改正の大綱」の76ページに明記された、「特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする。」という点のその後なのである。これは、地方税法に関するものなので、「地方税法等の一部を改正する法律案」として1月28日に閣議決定され、第208回通常国会に提出され、国会審議を経て、同法律案は 3 月22日に可決・成立し、3月31日に公布され、施行は2023年の所得税と2024年度の個人住民税の申告からなのである。
ということで、これまでは所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することが可能で、国民健康保険等の他制度における影響を考慮して、所得税では総合課税、個人住民税では申告不要を選択することが可能であったが、今回の法改正により2023年の所得税と2024年度の個人住民税の申告から、課税方式を一致させなければならなくなったのである。つまり、所得税の確定申告時に、特定配当等は申告不要にするか、総合課税または申告分離課税を、特定株式等譲渡所得金額については総合課税または申告分離課税(特定口座源泉徴収ありの場合は申告不要も選択可能)を選択すると、個人住民税の確定申告もそれぞれ同じ課税方式としなければならないのである。
ご主人のように国民健康保険に加入している人にとっては、総合課税または申告分離で個人住民税を申告すると、国民健康保険料の算定において、所得からの控除が43万円のみのうえ、所得割が12%程度(地方自治体により多少異なる)増加するので非常に不利になるのである。つまり、所得税と個人住民税の課税方式を一致させるということは、国民健康保険に加入している人とって、所得の少ない人以外は申告不要(源泉徴収)一択しかないのである。
因みに、改正理由について、金融所得課税の制度は、所得税と個人住民税を一体として設計されてきたこと等を踏まえ、所得税と個人住民税の課税方式を一致させるため、という説明が行われているのである。