2月9日、日経新聞に「高いロイヤルホスト、ガストを圧倒のワケ」と題する興味深い記事が掲載されていたのである。『物価高を嘆く声が広がるなか、ファミリーレストランで「異変」が起きている。平均単価の高いロイヤルホスト(ロイヤルホールディングス)が新型コロナウイルスの感染拡大前の売上高を確保する一方、低価格の「ガスト」などすかいらーくホールディングスの店舗は苦戦しているのだ。』という出だしで始まっているのである。
ロイホは、2022年は前年同月比でほぼ全月2桁増、2019年並みの売上を確保していたが、すかいらーくは、2022年は前年同月比では2桁増であったものの、2019年比では全月マイナス、年間売上では81.3%と、コロナ禍前に遠く及ばないのである。「物価高に伴う節約志向を考えると、すかいらーく側に追い風が吹くように思うが逆のベクトルが働いている。」という疑問を解説しているのである。
ロイヤルホストの復活要因について要約すれば、①店舗、セントラルキッチン、開発チームにコックを置き味へのこだわりは強い。店舗数はピークの377店から現在221店まで減少、量より質を重視し、希少性が高まっている。②行動制限が緩和されても外食産業の回復は鈍いなか、折角外食に行くなら高級感を醸し出すロイホで食事しようという消費者心理が働きやすいのかもしれない。③2022年11月、TBS系のバラエティー番組「ジョブチューン」で、審査員からパンケーキが酷評されたが、放映後ネット上で擁護派の意見が噴出し、12月は客数、売上が大きく回復した。
そして、最後に、「あらゆる分野に広がる物価高だから、財布のひもは緩められない。それでもコロナの感染者確認から3年が過ぎ、外出を伴う体験型消費も楽しみたい。そうした複雑な心理を抱く消費者に価格以上の価値を見いだして貰えるかどうかが、これまで以上に重要になる。」と締めくくっているのである。
ということで、平均点というか平凡なお店では支持されず、消費者が価格以上の価値を見いだす特色のあるお店が支持される時代と言えるのである。確かに、ご主人は、すかいらーくホールディングス系列では、ふわとろパンケーキのむさしの森珈琲と高価格の藍屋にばかり利用し、平凡なガストにはまったく行かないのである。ロイヤルホールディングス系列では、ロイヤルホストとてんやを利用しているのである。
因みに、2月14日、両者から2022年12月期決算短信が発表されたのであるが、ロイヤルホールディングスは、増収・増益(黒字転換)・増配となったが、対照的にすかいらーくホールディングスは、増収・減益(赤字転落)・無配と大苦戦なのである。2023年12月期通期業績予想は、ロイヤルホールディングスは増収・増益・増配(15円)が見込まれているが、すかいらーくホールディングスは増収・増益(黒字転換)・増配(3円)ではあるものの、純利益10億円、1株当たり利益4.40円となかなか厳しそうなのである。
株価で見ても、ロイヤルホールディングスは、コロナショック直後の2020年4月の1,378円底にジワジワと上昇を続け、2月17日には終値2,527円、すかいらーくホールディングスはコロナショック以降1,450~1,650円程度で横這いが続き、2月17日の終値は1,585円となっていることろからも、ロイヤルホールディングスの好調振りが見えるのである。