10月13日、吉野家ホールディングス(9861)から、2022年2月期から株主優待制度の変更が発表されたのである。「株主優待制度の変更に関するお知らせ」によれば、大きな変更点は3つなのである。
1つ目は株主優待券の額面が300円から500円に変更。2つ目は100株以上199株以下が3,000円(300円×10枚)から2,000円(500円×4枚)に減額。3つ目は200株以上999株以下の新設5,000円(500円×10枚)。詳しくは「株主優待制度の変更に関するお知らせ」の「2.変更内容」を見て欲しいのである。
吉野家ホールディングスは、株主優待制度変更の理由について、「この度、更なる株主還元の公平性、現下の 新型コロナウィルス感染症の影響による不透明な経営環境、及び持続的な成長を含めた総合的な観点から、株主優待制度のあり方を検討した結果、以下のように変更させていただくことといたしました。」と説明しているのである。このような通り一遍の変更理由では本音が分かりにくいが、吉野家ホールディングスの株主構成を見ると、株主数では個人株主の比率99.44%、株数でみると個人株主の比率73.05%、そして必然的に他に類を見ないくらい浮動株比率は高く67%という事情を踏まえると、ご主人は、株主優待目当ての100株保有の個人株主が多いので、コロナ禍株主優待券が負担になってきたということであり、株主優待事務の負担も軽減するため、100株保有株主の株主優待券を減額し、合わせて200株保有者を増やす狙いがあると思うのである。
また同日、2022年2月期第2四半期決算短信が発表されたのである。売上高742億円(前年同期比9.4%減)、営業利益7億円(前年同期営業損失59億円)、経常利益49億円(前年同期経常損失50億円)、純利益31億円(前年同期純損失57億円)と減収・増益となったのであるが、株式会社京樽の売却の影響を考慮すると、前年同期比実質的に増収なのである。コスト削減、原価や販売管理費の低減により、前年同期比営業損益は66億93百万円改善し黒字化し、さらには各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金や雇用調整助成金などの助成金等収入41億円を計上したことにより、経常利益および純利益は前年同期比大幅に改善し、5円の復配も実現したのである(期末の配当は未定)。