1月4日、ザイ・オンラインに公開された「連続増配株ランキング」ベスト20![2023年最新版](https://diamond.jp/zai/articles/-/229803)についての検証なのである。この特集を取り上げている理由について、『つまり、長期間にわたって「増配を続けている」企業は、それだけ長期的に業績を伸ばしていたり、一時的に業績が落ちても配当を出せるようにしっかりと利益を蓄積できていたりする「優良企業」と判断することができるのだ。しかも、「配当が増える」だけでなく、それに伴って「株価も上がる」傾向があるので、「増配株」は実に魅力的な投資先なのだ。』と説明しているのである。
ということで、第1位は32期連続増配の花王なのである。花王については、「1991年3月期に増配を開始して以来、実に32年(厳密には32期)連続で増配を続けており、この32年間に年間配当額は20.2倍に成長した。特に2014年12月期からの年間配当額の伸びが顕著で、2020年12月期までの6年で2倍になっている。直近3年の増配率は1.20倍で、年平均6.2%の増配をしている計算になる。」とコメントしているのである。確かに32年前に購入していればそのとおりで、株価の上昇を享受できたのであるが、最近の3年間の株価は次のチャートのとおり冴えないのである。上場来最高値は2018年10月2日の9,387円、1月5日の終値は5,174円と最高値から45%も下落しているのである。その要因としては、営業利益、純利益とも3期連続減益が挙げられるのである。1月5日終値で、PER(会社予想)21.95倍、予想配当利回り2.68%、2022年12月期の配当予想148円、EPS予想235.67円、配当性向62.8%と、増配を実施するには支障ないものの、2年前から5年前に購入した人は高値掴みになってしまったのである。
また、この特集では、『「増配株」選びで重要なのは、連続増配期間や配当期間だけでなく、増配率や配当性向なども判断材料に加えること。』というコメントもあるが、増収率、増益率、PER、PBR、ROE、ROAなどの指標も踏まえ、株価の割高感がない時に購入しないと配当総額より含み損のほうが大きくなる可能性があるのである。