2月14日、自動車用各種ホース類の製造および販売のニチリン(5184)から、堅調な2022年12月期決算短信が発表されたのである。決算短信によれば、売上高64,172百万円(前期比10.1%増)、営業利益7,678百万円(同12.2%増)、経常利益8,452百万円(同12.2%増)、純利益4,578百万円(同4.2%減)、1株当たり利益324.48円(前期336.04円)、配当90円(前期83円)、配当性向27.7%(前期24.7%)と堅調な業績となったのであるが、純利益が減益となっているのは前期固定資産売却益(14億円)があったためなのである。国内事業は好調であったが、海外事業は半導体等の部品不足、ウクライナ戦争、中国のコロナ禍などの影響で低調だったのが少々残念なのである。
また、同日に発表された「株主還元方針に関するお知らせ」によれば、2023年12月期より、次のとおり従来の配当方針に加え、配当性向と自己株式取得について一定の目標数値を設けた株主還元方針を明らかにしたのである。この変更理由について、ニチリンは、「株主還元を重要な経営施策の一つとして認識し、配当政策とともに自己株式取得を含む株主還元方針を明確にすることにより、株主の皆様への利益還元の充実と、自己株式取得を含めた資本政策の機動性向上を通じて、当社の企業価値の一層の向上を図るため。」と説明しているのである。
2023年12月期業績予想は、売上高680億円(前期比6.0%増)、営業利益82億円(同6.8%増)、経常利益84億円(同0.6%減)、純利益46億円(同0.5%増)、1株当たり利益328.75円と、堅調な業績予想なのである。また、配当予想は14円増配の104円(配当性向31.6%)となったものの配当性向目標(35%)には届いておらず、さらに、「自動車業界では、・・・、依然として半導体不足の影響による生産調整は続いており、各地域の生産・販売ともに前年を上回るものの、コロナ禍前の水準に戻るには時間を要するものと見込まれます。」、「為替レートについては、1US$=125円を前提としております。」と慎重な姿勢が伺われ、上振れも期待できるのである。
翌15日、株価は一時185円高(+9.55%)の2,122円と年初来最高値を更新、終値は前日比 円137高(+7.07%)の2,074円と、決算と株主還元方針を評価する上昇ぶりだったのである。