4月28日13時、電炉大手の大和工業(5444)から、2023年3月期決算短信が発表されたのである。売上高1,804億円(前期比20.3%増)、営業利益168億円(同26.5%増)、経常利益904億円(同57.0%増)、純利益653億円(同63.6%増)、1株当たり利益1,025.49円(前期618.62円)、配当300円(前期160円)と増収・増益・増配なのである。好業績の要因は、連結子会社と持分法適用会社が鋼材マージンの維持・押上げに努めた結果、ベトナム事業以外は大幅な増益を確保し、特に持分法適用会社からの利益はより利益を確保持分法による投資利益は662億円(前期比64.2%増)と、大きく貢献しているのである。
2024年3月期通期業績予想について、売上高1,600億円(前期比11.3%減)、営業利益95億円(同43.5%減)、経常利益680億円(同24.9%減)、純利益480億円(同26.5%減)、1株当たり利益753.57円と減収・減益を予想しているのである。減収・減益の要因は、国内の圧延設備の更新工事を計画的に順次実施することに伴う生産・販売数量減少、海外では米国以外で販売数量・価格の低迷による影響が挙げられるのである。
なお、同時に発表された「配当方針の一部見直しに関するお知らせ」によれば、2024年3月期から、連結配当性向を「30%を目処」から「40%を目処」に変更することとなり、2024年3月期の配当予想は前期と同額の300円(配当性向39.8%)が見込まれているのである。配当方針の変更理由について、大和工業は、「当社は、成長投資、ステークホルダーへの貢献、株主に対する利益還元を経営の重要課題と位置づけ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。 今後も財務健全性の維持に努めながら、将来の成長投資と株主還元にキャッシュを適切に配分していく方針でありますが、この度、直近の経営環境や財務状況等を総合的に勘案し、また株主の皆様のご期待に応えるべく、連結配当性向を「30%を目処」から「40%を目処」に見直すことにいたしました。」と説明しているのである。
因みに、大和工業の株価は、13時の発表後、5,250円から5,350円程度の間で揺れ動いたが、終値は前日比50円高(-0.95%)の5,320円なのである。株式市場も、減収・減益と配当維持をどう評価するのか迷ってしまったように見えるのである。