8月1日、大和工業(5444)の株価は遂に7,000円を突破したのである。6月14日、大和工業の株価は急上昇、一時前日比187円高(+3.20%)の6,028円と、2008年5月20日につけた5,940円以来、実に15年振りに上場来最高値更新したのである。その後も、バリュー株(高配当株)ブーム、PBR改善ブームに乗って上場来最高値更新を続けていたところ、7月21日、東京製鐵(5423)の通期業績予想の上方修正をきっかけに、連想ゲームのごとく鉄鋼業全般に株価上昇が広がったのである。
大和工業も連日上場来最高値更新し続けているところに、7月31日、2024年3月期第1四半期決算短信と業績予想の修正に関するお知らせが発表されたのである。業績予想の修正に関するお知らせによると、減収ではあるものの利益は大幅に増加する予想なのである。2024年3月期通期業績予想は、売上高1,600億円⇒1,540億円(前期比%14.7減)、営業利益95億円⇒130億円(同22.7%減)、経常利益680億円⇒820億円(同9.4%減)、純利益480億円⇒580億円(同11.2%減)、1株当たり利益753.57円⇒910.56円なのである。なお、配当予想の修正はなく、配当性向は39.8%⇒32.9%と低下しているのである。
修正の理由について、大和工業は、「中国の景気回復の勢いは乏しく、また、世界的なインフレ長期化や米中対立など世界景気の下振れ懸念が続いております。当社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材の需要は全体的に盛り上がりに欠けており、引続き中間材も含め販売数量確保に努めるものの、グループ総販売数量は前回予想を下回る見込みです。一方、主原料の鉄スクラップ価格が当初予想より弱含みで推移する見込みであり、各拠点において高水準の鋼材マージンの維持及びコスト低減に努めることで、前回予想を上回る利益水準を見込んでおります。主に日本と米国の持分法適用関連会社の業績が前回予想時よりも好調に推移する見込みであることと円安効果により」と説明しているのである。
通期業績予想が上方修正されたものの前期には及ばないが、株価は敏感に反応し、翌8月1日には、ザラ場で7,052円と上場来最高値更新高値更新し、さらに2日前場には7,077円と連日上場来最高値更新したのである。株価上昇の背景には、配当予想の修正が発表されなかったが、大和工業の配当方針が配当性向40%なので、現在の年間配当予想300円では配当性向が32.9%となり40%を大きく下回ることから、いずれは配当予想も修正され、多くの人が360円程度(1株当たり利益910.56円×40%=364円)は期待できると思ったと推測できるのである。