8月7日、スターアジア不動産投資法人(3468)から、「新投資口発行及び投資口売出しに関するお知らせ」、「国内不動産信託受益権の取得及び貸借並びに譲渡に関するお知らせ」が発表されたのである。これらのお知らせは、要するに、公募増資(新投資口発行及び投資口売出し)により調達した資金で、次のホテル7物件、住宅4物件を取得するということなのである。
その理由について、スターアジア不動産投資法人は、「取得予定資産は、内部成長ポテンシャルのある宿泊特化型のホテル7物件と安定的な収益が見込まれる新築・築浅の住宅4物件の合計11物件であり、本取組みにより、本投資法人の資産規模は2,422億円に拡大すると同時に、ポートフォリオ平均築年数の改善により、ポートフォリオ強化につなげるものです。とりわけホテル7物件については、スターアジアグループに属し、48棟8,722室の運営実績(2023年6月末時点。運営予定を含みます。)を持つポラリス・ホールディングス株式会社の関連会社がオペレーターとなる予定であり、ホテル運営の効率化が期待されます。今回取得予定のホテル7物件の契約形態は、すべて、「固定賃料+変動賃料」であり、さらには、「KOKO HOTEL銀座一丁目」、「KOKO HOTEL札幌駅前」、「KOKO HOTEL福岡天神」、「KOKO HOTEL広島駅前」、「KOKO HOTEL鹿児島天文館」及び「フィーノホテル札幌大通」の低層階には飲食店などの店舗が入居することにより、ホテルテナントの売上を下支えする戦略を採り、収益のダウンサイドリスクを低減することが可能です。」と説明しているのである。
スターアジア不動産投資法人は総合型リートであるが、今回のホテルと住宅の取得によってポートフォリオは、オフィス30.9%、ホテル28.7%、住宅16.7%、物流施設12.2%、商業施設11.5%となり、よく言えばバランスが取れた総合リート、悪く言えば八方美人型(特色の無い)の総合リートなのである。オフィス市場については、テレワークの普及とオフィスの供給過剰感から空室率の上昇・賃料の下落傾向があることから、スターアジア不動産投資法人は、相対的に安定している住宅、コロナ禍から復活しつつあるホテルを増やすことにより、分配金の増加(投資主価値の向上)を目指しているのである。同じく総合型リートである投資法人みらい(3476)も、第14期(2022年11月~2023年4月)に、初めての居住施設(学生向け賃貸マンション)へ投資をしたことからも、オフィスの比重を下げる傾向は続きそうなのである。
因みに、公募増資発表の常であるが、翌8日の投資口価格は、前日比3,100円安(-5.33%)の55,100円と大きく下落したのである。