電炉大手の大和工業(5444)は、9月4日、前日比187円高(+2.64%)の7,279円と、8月9日につけた7,206円以来、1ヶ月ぶりに上場来最高値更新したのである。その後も6日、7日、15日、19日、20日と上場来最高値更新を続け、21日には、日経平均株価が前日比452.75円安(-1.37%)と逆風の中、一時497円(+6.71%)の7,909円と、またまた上場来最高値更新したのである。
値上りの要因については、特段のニュースもIR情報の開示もなく、唯一可能性がありそうなのが、9月20日、大和証券が大和工業のレーティングを3(中立)から2(やや強気)に変更し、目標株価を5,900円から8,400円に引上げたことくらいなのである。21日の株価(終値)7,655円でみても、2022年末の株価4,505円から69.9%値上り、8月末7,028円から8.92%の値上りと急上昇感は否めないが、PER8.41倍、PBR1.07倍と過熱感からはほど遠く、つまり長らく過小評価されていたと言えるのである。
因みに、8月31日付け日経新聞コラム「スクランブル」は、「円安・インフレへのかまえは株式市場の物色からも見て取れる。象徴は鉄鋼株の堅調振りである。業種別日経平均で鉄鋼は前年末比47%高、24%高の日経平均を大きく上回る。過去、鉄鋼株買いが起きるのは決まってインフレの時代だ。1970年代の石油危機、80年代の日本のバブル、2000年代半ばの中国バブル。そして、今回再び鉄鋼株高の波が訪れている。」とインフレの可能性に言及しているが、いよいよ本当のインフレが起きつつあるのかもしれない。