例年税制改正に強い影響というか、税制改正の内容そのものとなる、2023年度与党税制改正大綱が、12月16日決定されたのである。投資家の関心事項はやはり大きく改正されるNISAなのである。2020年度税制改正により2024年から現行NISAが改正される予定であったが、こちらは白紙撤回され、2023年度の税制改正大綱に基づき新たに改正されることになるのである。改正の概要は次のとおりなのである。
現行のNISAは2023年の買付が最後で、つみたてNISAは20年後、一般NISAは5年後完全に廃止されるのである。2024年からの新NISAは現行NISAとは別の制度という位置づけなので、現行NISAを利用している人も、新NISAをフルに利用できるのである。
新NISAの年間拠出額の上限は、つみたて投資枠120万円及び成長投資枠(株式等)240万円なので、この2つの投資枠を併せて年間拠出額の上限は360万円なのである。生涯拠出額の上限が1,800万円なのであるが、このうち成長投資枠の生涯拠出額の上限は1,200万円、積み立て投資枠は成長投資枠を使わなければ生涯拠出額の上限が1,800万円なのである。そして現行NISAとの大きな相違点は、新NISAは恒久的な制度となり、非課税で無期限に運用できることなのである。また、成長投資枠(株式等)は、買付額で限度管理を行い、運用途中で売却した場合はその買付額相当分の投資枠が復活するのである。
本業がある若い人であれば、投資対象を経済成長力が日本よりも高い、米国株式、先進国株式または全世界株式に、例えば50万円×36年、60万円×30年のように積み立てる手法が、手間暇がかからないので主流となると予想されるのである。
成長投資枠(株式等)は、売買が繰り返すことができるので、IPOの値上り益狙いのような短期売買、相対的に経済成長が高い米国株式等を投資対象としているETF、長期にわたり増益・増配が期待できる株式、高配当株などいろいろな戦略がありそうなのである。岸田政権は、新NISAを起爆剤に日本株の活性化を狙っているのかもしれないが、低金利、金融緩和でゾンビ企業が生き延びている現状では生産性は上がらず、GDPは増えないので、日本株への投資はあまり増えず、株価の上昇は期待できないかもしれないのである。もしかしたら、新NISAで外国株投資が増え、一段と円安が進むという、お笑いのようなことが起きるかもしれないのである。