12月1日、ニチリン(5184)の株価は、一時前日比60円高(+1.76%)の3,455円と、2017年11月10日につけた3,438.46円(株式分割調整済み)以来、6年振りに上場来最高値更新したのである。ニチリンの株価は2022年1月を底にジワジワと上昇、11月10日、ニチリンからから2023年12月期通期業績予想と配当予想の上方修正が発表されると、その翌営業日(13日)には一時3,400円と上場来最高値に迫る上昇振りを見せたのである。その後は一進一退を続けていたが、12月1日、6年振りに上場来最高値更新したのである。
上場来最高値更新の要因については、新しいIR情報が発表されたわけではないので確かなことは分からないが、唯一それらしいのが11月29日に報じられた11億円の申告漏れなのである。ニチリンが大阪国税局の税務調査を受け、2021年12月期までの4年間で約11億円の申告漏れを指摘され、追徴税額は過少申告加算税を含めて約3億円を全額納付しているのである。指摘された申告漏れは、ニチリンが海外子会社に販売したホース部品の代金などが相場より安く設定され、本来は日本で計上すべき利益の一部が海外子会社に移し替えられた点なのである。つまり、所得を海外子会社に移転したとして、国外への所得流出を防ぐ移転価格税制が適用されたのである。
海外に利益を移転したということは、海外に利益を移転しなければ利益がもっと上がっていたということで、株価の見直しが起こったのかもしれないのである。4年間で約11億円の申告漏れなので年3億円弱の申告漏れに対し、2021年12月期の税金等調整前当期純利益が88億円なので、3%程度利益を減らしていると推測されるのである。