11月11日、ニチリン(5184)から、2022年12月期第3四半期決算短信と通期業績予想の修正(上方修正)・増配が発表されたのである。売上高46,853百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益4,895百万円(同0.7%減)、経常利益6,258百万円(同14.9%増)、純利益3,299百万円(同6.5%減)、1株当たり利益233.54円(前年同期247.67円)、配当38円(前年同期38円)なのである。円安要因による売上高の増加、為替差益1,259百万円による経常利益の増益あるものの、世界的な半導体不足による自動車生産の減少に伴う減収・減益、ウクライナ戦争による欧州部門の営業損失の発生など、その実態は芳しいものではないのである。
同日、2022年12月期通期業績予想の修正が発表され、売上高609億円⇒655億円、営業利益70億円⇒73億円、経常利益72億円⇒88億円、純利益30億円⇒43億円、1株当たり利益212.47円⇒304.37円と、いずれも上昇修正されたのである。この上方修正の理由について、ニチリンは「第 3 四半期連結累計期間の実績、および、当社グループの主要な取引先である自動車メーカーの今後の生産見通しや、円安進行などの外部環境を踏まえ、売上高、利益とも前回発表の予想を上回る見込みとなりました」と説明しているのである。併せて、2022年12月期期末配当予想が修正され、配当予想38円⇒50円と増配なのである。この増配の理由について、ニチリンは「2022年12月期第3四半期決算短信のとおり、直近の業績が堅調であること等を勘案し、配当予想の修正を行うものです」と、説明しているのである。
増配は嬉しいもののその背景は円安によるものであり、半導体不足、コロナ禍、ウクライナ戦争、原材料価格・エネルギーコストなどの上昇、等々懸念材料は多々あり、今後の業績は楽観できないのである。