ご主人は、人生の終盤、つまり退職後から亡くなるまでの期間、健康で楽しく快適に暮らすために特に重要なのが、3つの「きんりょく」、即ち、菌力、筋力、金力であると常々言っている。勿論、退職後から重要なのではなく、若い頃から心がけ、努力が重要であり、これが退職後の3つの「きんりょく」に繋がるのだそうである。
1つめの菌力とは腸内細菌のことである。人間の腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があるが、日和見菌は増加した善玉菌または悪玉菌に加担するので日和見菌と呼ばれているのである。加齢と共に善玉菌が減少し悪玉菌が増える傾向があり、日和見菌は悪玉菌に加担し悪さをするので、体調の不調だけでなく、免疫力の低下、便秘・下痢に繋がるのである。逆に、善玉菌を増やせば、日和見菌は善玉菌に加担するのである。乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌を増やすためには、ヨーグルト、納豆、味噌、漬物、チーズ、甘酒、干物などの発酵食品を多く摂るのと、善玉菌のエサとなる、食物繊維が多い野菜、海藻、キノコなどを多く摂ることである。そして善玉菌は、便とともに排出されるので、これらの食物を継続的に摂らなければならないのである。この辺の詳しい話は、出版されているたくさんの本やネットで簡単に調べることができるのである。
2つめの筋力とは文字通り筋肉の力である。特に高齢になると脚、尻の筋肉の衰えが顕著となるのである。温泉、SPA、ジャグジーなどで高齢者を観察すれば、若い人に比べ太腿、尻の筋肉が貧弱であることがすぐ分かると思う。いわゆる足腰の衰えである。足腰が衰えれば、動きが鈍くなるだけでなく、転倒しやすくなり、怪我で寝込めばより一層足腰の筋肉が衰えるのであり、リハビリ、介護が必要になるのである。足腰の衰えを防ぐには一にも二にも運動であるが、毎日早足で歩く程度で十分なのである。逆に激しい運動、長時間の運動は活性化酸素を大量に発生させ、これが体内を酸化させ老化に繋がるのである。ポリフェノールや水素水が話題になったのは、この活性化酸素を中和する機能があるとされたからである。ご主人は、ゴルフや農作業の手伝いだけでなく、何も無いときは散歩をするが、信号待ちやエレベータ待ちの少しの時間でも片足立ちをして、脚に負荷をかけているのである。
3つめの金力とは文字どおり財力である。2019年に老後の2000万円問題が話題になったので、広く知られるようになったのであるが、老後の資金は年金だけでは不足であるので自助努力が必要であるのである。20世紀のような高金利であれば預金だけでも老後の資金を作ることが可能であったが、バブル崩壊後低金利が続き、さらに今年は新型コロナウイルス対策で各国は金融緩和を行ったことからも、これからも低金利が続くものと思われるので、預金では不可能であり、できる限り早めに株式投資を中心とした投資が必須である。
具体的な手法としては、まずはiDeCo(個人型確定拠出年金)である。制度の詳細はiDeCoの公式サイトや証券会社等のHPを見て欲しい。iDeCoのメリットは、拠出額全額が所得控除になること、受け取る時は年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となること、つまり税制上のメリットが大きいのである。しかも確定拠出は2022年から65歳まで可能となるので、大卒サラリーマンでも40年以上拠出可能となる。iDeCoでは信託報酬の低い世界株式投資信託を長期間積み立てるのが基本である。資金に余裕がある人はNISAを利用するのである。つみたてNISAであれば、40万円×20年、通常のNISAであれば120万円×5年(5年後ロールオーバーできる)、配当も値上がり益にも課税されないのである。iDeCoとNISAを長期に運用できれば2,000万円などは楽勝である。勿論、資金に余裕があれば、株式、リート、投資信託などに投資することも考えるべきである。
ご主人は、iDeCoもNISAも利用しているが、金融資産全体からみれば僅かであり、個人年金保険、養老保険、株式、リート、ETF、投資信託と基本的な金融商品への投資が大きく貢献しているのである。その結果、今では株式・リートの配当、株主優待、個人年金保険だけで生活できるほどの収入を確保した上に、退職金は手つかずに残しており、64歳から厚生年金も受給するので、悠々自適の老後を実現したのである。
ご主人が健康で、日本経済が破滅しない限りは、トロも安泰である。